法規では、電気事業法や電技、電技解釈の穴埋め問題は頻出ですので、実際の条文に目を通すことは受験対策として非常に有効です。
しかし、

参考書に載ってる電気事業法の条文を読んでも、文章が難しすぎて、頭に入ってきません
となり、勉強が進まない方もいらっしゃるのではないでしょうか?
このページでは、電気事業法における電気事業について、わかりやすく解説いたします!!
電気事業の分類
電気事業法における電気事業は
- 小売電気事業
- 一般送配電事業
- 送電事業
- 特定送配電事業
- 発電事業
に分類されます。
上記、5つの電気事業をものすごく簡単にまとめると、こうなります。

各電気事業の詳細
小売電気事業
電気事業法第2条1項2号
小売供給 一般の需要に応じ電気を供給することをいう。
小売電気事業 小売供給を行う事業(一般送配電事業、特定送配電事業及び発電事業に該当する部分を除く。)をいう。
()書きを除いた部分にアンダーラインを引きました。()書きを飛ばすと、少し読みやすくなります。
この条文をわかりやすく言い換えると、
小売電気事業とは
- 電気を需要家(家庭や会社など)に販売する事業
我々が電気を使うために契約している会社が「小売電気事業者」です。
小売電気事業を営むためには、経済産業大臣の「登録」が必要です。
例えば、東京電力エナジーパートナー、楽天エナジー(楽天でんき)、ドコモでんき
などが小売電気事業者に該当します。
小売電気事業者の収入源は、我々が支払う電気料金です。
一般送配電事業
電気事業法第2条1項8号
一般送配電事業 自らが維持し、及び運用する送電用及び配電用の電気工作物によりその供給区域において託送供給及び電力量調整供給を行う事業(発電事業に該当する部分を除く。)をいい、当該送電用及び配電用の電気工作物により次に掲げる小売供給を行う事業(発電事業に該当する部分を除く。)を含むものとする。
イ その供給区域(離島(その区域内において自らが維持し、及び運用する電線路が自らが維持し、及び運用する主要な電線路(第二十条の二第一項において「主要電線路」という。)と電気的に接続されていない離島として経済産業省令で定めるものに限る。)及び同項の指定区域(ロ及び第二十一条第三項第一号において「離島等」という。)を除く。)における一般の需要(小売電気事業者又は登録特定送配電事業者(第二十七条の十九第一項に規定する登録特定送配電事業者をいう。)から小売供給を受けているものを除く。ロにおいて同じ。)に応ずる電気の供給を保障するための電気の供給(以下「最終保障供給」という。)
ロ その供給区域内に離島等がある場合において、当該離島等における一般の需要に応ずる電気の供給を保障するための電気の供給(以下「離島等供給」という。)
託送供給、電力量調整供給とは、電気を運ぶことを意味します。
※託送供給、電力量調整供給、最終保障供給、離島等供給の説明は別記事とさせていただきます。
この条文をわかりやすく言い換えると、
一般送配電事業とは
- 自社の送配電設備を使って、自社の供給エリア内の需要家に、小売電気事業者が販売する電気を運ぶ事業
- 一部の小売電気事業(自社の供給エリア内での最終保障供給、離島等供給)
一般送配電事業を営むためには、経済産業大臣の「許可」が必要です。
一般送配電事業者は、小売電気事業者から電気の運搬費(託送料金)を得て収入としています。
送電事業
電気事業法第2条1項10号
送電事業 自らが維持し、及び運用する送電用の電気工作物により一般送配電事業者又は配電事業者に振替供給を行う事業(一般送配電事業に該当する部分を除く。)であつて、その事業の用に供する送電用の電気工作物が経済産業省令で定める要件に該当するものをいう。
振替供給は簡単に言うと、自社の設備から他社の設備の連系点まで電気を運ぶことを意味します。
この条文をわかりやすく言い換えると、
送電事業とは
- 自社の送電設備を使って、一般送配電事業者の送配電設備または配電事業者(他社)の配電設備の連系点まで電気を運ぶ事業
送電事業を営むためには、経済産業大臣の「許可」が必要です。
特定送配電事業
電気事業法第2条1項12号
特定送配電事業 自らが維持し、及び運用する送電用及び配電用の電気工作物により特定の供給地点において小売供給又は小売電気事業、一般送配電事業若しくは配電事業を営む他の者にその小売電気事業、一般送配電事業若しくは配電事業の用に供するための電気に係る託送供給を行う事業(発電事業に該当する部分を除く。)をいう。
この条文をわかりやすく言い換えると、
特定送配電事業とは
- 自社の送配電設備を使って、特定のエリアにのみ電気を運ぶ事業
特定送配電事業を営むためには、経済産業大臣に「届け出」なければなりません。
例えば、JR東日本が特定送配電事業者に該当します。自社の送配電設備で駅や鉄道施設に電気を供給しています。
発電事業
電気事業法第2条1項14号
発電事業 自らが維持し、及び運用する発電等用電気工作物を用いて小売電気事業、一般送配電事業、配電事業又は特定送配電事業の用に供するための電気を発電し、又は放電する事業であつて、その事業の用に供する発電等用電気工作物が経済産業省令で定める要件に該当するものをいう。
この条文をわかりやすく言い換えると、
発電事業とは
- 自社の発電設備を使って、売るまたは送る目的として電気を発電又は放電する事業
発電事業を営むためには、経済産業大臣に「届け出」なければなりません。
非常用の自家発電や自家消費を目的とした太陽光発電は、売るまたは送ることを目的としていませんので、発電事業にはあたりません。
まとめ
- 小売電気事業(登録制)
⇒一般の需要に応じ電気を小売する事業
- 一般送配電事業(許可制)
⇒発電事業者から受けた電気を小売り電気事業者等に供給する事業
(ただし、離島供給や最終保障供給の義務有)
- 送電事業(許可制)
⇒一般送配電事業者に電気の振替供給を行う事業
- 特定送配電事業(届出制)
⇒特定の供給地点にのみ電気を供給する事業
- 発電事業(届出制)
⇒発電した電気を小売電気事業者等に供給する事業
各電気事業をまとめるとこんな感じになります。
電験三種取得を目指すみなさまのお役に立てれば幸いです。
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